気泡が残る話


防爆製品である。防爆とはいろいろ種類があってわかりにくいが、簡単に言えば内部で発火しても外へは火が漏れない構造であることだ。
構造を申請して許可を得る、勝手に変えたり守らなかったりすると犯罪になってしまうという恐ろしい規格である。


ガラス窓がO-RINGで封されているのだが、防爆タイプはさらに固着剤で埋めなければならない、適正な量と気泡が無い事が決められている。

ところがどうしても気泡が残ってしまい、おおむね半数が作り直し、ひどい時は4個に1個しか良品が取れない時があった。



ガラスを抑える部品のところに気泡が残るのと、ガラスの下に気泡が出来てしまう、あるいは両方。
構造は図の如く、ネジが付いたリングでガラスをO-RINGに押し付ける。
リングが付いていると固着剤が入れられないので、最初は冶具で押さえた状態で固着剤を流し込んで、リングで固定する。そうすれば冶具から外しても良い。
硬化したらリングを外して気泡が無い事と量を確認して、ガスケットを挟み込んでリングで締め付けて完成である。

固着剤の真空脱泡なども試したが、残る気泡のサイズはmmサイズ。脱泡では無く、充填した時の空気の巻き込みなどが原因らしいと判る。

リング無で冶具で固定したまま固める気泡の発生が減ることが判る。でもガラスよりあふれた固着剤は固まる前に平らにしておかないといけないし、量も調べないといけない。 リングで抑え込めば平らになって余分な樹脂もあふれて固まった後で取ることが出来る。

なんとかリングを付けた状態で気泡が出ない方法は無いかと探った。
色々試して、ネジを削ってしまい、落とし蓋にすると良いことが判った。
治具で押さえたままで固まらせる訳である。

どうやら、リングを回した時にネジで巻き込む、リングを置いた時点でリングの下に空気が入る、しかしネジに入り込んだ樹脂で蓋されてしまい、泡が抜けないらしい。
なおかつリングで締め付けると樹脂に圧力がかかる、O-RINGの溝から空気が押し出されてくる。
リングで固定しても冶具を外した瞬間に負圧が生じて泡が出来る。
というような事が起きていたのではなかろうか。

証明は出来ない、結果オーライである。



この項完。
[2018.10.10]

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