
カンタル線(ニクロム線)の巻き線機を使ってヒーターを作っている。
線はボビンからテンショナーを通って巻かれる。
ところがボビンの出口で線が絡んで巻き線が切れてしまう、最悪の場合、巻き線ノズルが破壊されてしまう事が起きている。
ボビンが新しい時ほど顕著に起き、使い込んでくると安定すると言う不可解な現象。
ボビンは軸に通してフリーで回るだけである。
よく観察すると、巻き線中は一定スピードでボビンから繰り出されるが、巻きが止まるとボビンはオーバーランする。そのオーバーランが大きいと巻きがほどけて浮いた線が何本か出来る、次に線が引っ張られると浮いた線が引き込まれてテントを張る様に絡まってしまうのである。
線が多い時と少ない時でボビンの慣性モーメントが変わる、新品のボビンは線が多く慣性モーメントが大きい、だから惰性が大きくて止まりにくいということらしい。
45度くらい手で回しても大丈夫だが、60度くらいまで回すと、ほどける。微妙なところである。
ボビン径が新品の110mmの時は危なく、ボビン径が85mmならば大丈夫。ボビン径が85mmくらいの時はオーバーランは45度くらいである。
この状態からボビンの摩擦トルクが判る、1.2Nmだったので、110mmの時のオーバーランは計算できる。約70度である。45度に抑えるには摩擦トルクを1.9Nmにしないといけない事になる。

しかし、摩擦トルクを1.9Nmにしてしまうと、つまり今の1.2Nm以上にしてしまうと巻き線のテンションに影響が出てきてしまうのである。
一応既定のテンションは守らなければならないのである。うまい方法はないものだろうか。
繰り出すときは抵抗ないけど、繰り出しが止まったらオーバーランしないで止まる。そんなボビンはできないだろうか。
いちおうこんなメカを考えて見たんだけど、摩擦でそこまで安定した制御できるかなあ・・
やってみないと不確かなのにお金がかかりすぎそうである。

この項完。
[2018.6.29]
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