回転体の振れが問題になる製品がある。
ベアリングにて回転する構造になっているのだが、回転部分の振れを小さく抑えたい。
剛性の高い1個のベアリングのみで受けている。
全長が長い、つまり測定点とベアリングの距離が長いほど不利となっている。
当り前の話ではあるが結構奥が深い。
測定部分とベアリングがはまり込む部分の加工は同軸度0.01mmで完成されているのに、
振れが0.1mmと大きいものが出てしまう事がある。
同軸度は基準となる点を中心として仮想回転させた時に振れとなって現れる量をφで示したもの、
だから、芯のずれの倍の値を取る。
同軸度0.01mmと言った場合、芯のずれ量は0.005mm、5ミクロンということになる。
回転部分の部品をベアリングに挿入した時にななめにはまり込むに違いないとの結論に達した。
計算してみると、今回のケースでは軸方向に0.05mm斜めになると、0.1mmの振れとなる。
ベアリングの幅に換算すると0.007mmだった。なんと7ミクロン。
少なくともベアリングと筐体が隙間勘合だと傾く可能性があるという事になる。
データ的にしまり勘合でも発生している。筐体がアルミなので強度的に抑えきれないのか?
ベアリングは通常、肩の部分を押さえつけて与圧をかけるから、肩の部分の形状と、
測定部に対する直角というか平行が出ていないとそれに習って傾く可能性が高いという事になる。
現実に測定すると確かに怪しい。
実はこの部品、ベアリングの肩が当たる部分は加工面で無く、別部品なのだ、
個々の部品を検査しても図面上は問題は無さそうなのだが、制御出来ない「何か」が居そうである。
犯人探しは継続中。迷宮入りにならなければ良いのだが・・・。
この項完。
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