ベアリングが傾く話 その2


ベアリングが傾く話の続報。
ベアリングが回転物に対して傾くと、回転軸と回転物の中心軸に角度がついてしまい、 そのぶんだけ芯振れ・面振れに現れる。
全長が長い、つまり測定点とベアリングの距離が長いほど不利となっている。

本当にそうなのかの検証を行った。
使っているベアリングは、深溝玉軸受けやアンギュラではなく、クロスローラーベアリング
内輪は一体だが、外輪は二つ割りになっていて、クランプで絞め込むことでローラーに与圧をかける。

クランプを外し、外輪と回転物の勘合状態を三次元測定機で調べた。
まずは、振れが大きい場合、クランプが無い状態だと、ベアリング外輪と筐体は斜めの位置関係だった。
振れが小さい場合は斜め度合いが少ないと思っていたが、振れが小さいものも同様だった。

もともと、勘合寸法や、筐体形状とのかかわりで外輪と筐体は斜めの位置関係になっており、 クランプを絞めこみ、予圧をかけると斜めが矯正されて軸が立って行く事が判った。
振れが大きい場合は、クランプリングを絞めこんでも傾きが矯正できなかった。
また、矯正状況は同じなのに振れがあるなしのケースが見られた。

差異が見られるのはベアリング外輪の変形。振れが大きい時は外輪の平面度が悪く、 波を打っている様子が見られた。ハンドプレスなどで押すことで歪みが取れる。 どうやら挿入時の食いつきによると思われる。

ということは、挿入部の勘合では無く、最終的には押し付けられる平面で傾きが決まるという事らしい。
また、外輪が変形すると軸受け振れにも影響がありそうである。
クランプのねじ締め付けを怠ると振れが悪くなるという事例も存在する。
クランプで予圧を均等にかけるというのは、重要な役割を持っていると言える。

とりあえず、きちんと押し込める様にしようという事となった。

この項完。

戻る