ベアリングが傾く話 その3


ベアリングが傾く話の続報。

回転体が振れ回ってしまい、芯振れと面振れを観察した結果、ベアリングに対して回転体が斜めに挿入されている。
現象は判ったが何故?という回答をなかなか得られず、一年が経過した。
というより、あれほど頻発した現象が沈静化した。

そして、2011年の2月3月にまた再発した。
今度は振れ回りだけでなく、軸受けそのものの振れ異常も併発。大騒動となった。

大騒ぎして調べた結果、判った事を報告しよう。

「ベアリングは挿入部の勘合では無く、最終的には押し付けられる平面で傾きが決まるという事らしい。」
これは既に判っていた事だが、実は押しつけられる平面はCリングで、溝に挿入されている構造。
このCリングは研削して平面と平行を出していたのだが、厚みにばらつきがあることが判った。

最大で0.1mmくらい、図面指定は0.02mmなのでちょっと厳しい。
今回の多発は、Cリングの加工を外注に出したということで顕著に表れたが、 今までも起きていた事が想像されるので、対策として行動できる事柄が見つかったのは喜ばしい事だ。

Cリングは円では無い、だから「C」リングと言うんだけれど、円では無い部品をベアリングの基準面にしているというのは構造上好ましくない。
今まで漠然と感じていたこの事も、今回の調査で「少なからずベアリングの振れに影響を及ぼすだろう」と言う事が明らかになった。
ベアリングの軌道面が明らかに変形を受けることが確認できたのだが、数ミクロンレベルの話なのでなかなか定量的な論議が難しい。

軸受け振れに関しても、改めて、「面振れは筺体の高さに影響は受けないけれど芯振れは影響を受ける」という事実が確認され、 安易に同レベルで扱ってはいけない事が判った。

精度を要求される回転物を作るという難しさを改めて再認識した形となった。
そして、まだまだ良く判らない世界だなあということも。

この項完。

[2011.5.6]

戻る