めっき装置のキャリアの移動にラックとピニオンが使われている。
20年前に作られた装置だ。
移動距離は3mくらい、スクリューねじやボールねじを使うにはストロークが長すぎる。タイミングベルト駆動だと自走式は難しい、ということでラックとピニオンが採用されたと思う。
当時、きっとサーボモーターは高価だったのだろうか・・?
位置検出はエンコーダーと高速カウンタ。モーターはインバーター制御。
設定されたパルスの位置へ行くようにPLCで制御する。
大変良くできたシステムだと思う、感動的すらある。
ところが、不思議な現象が起きている。設定されたパルスで止まるのに位置が合わない、行きと戻りで10mmくらいずれてしまう。
原点復帰という機能は無く、原点は光電センサーとドグで拾っている。移動中にそのセンサーを拾ったエリアだけ原点:2000パルスにリセットするようになっている。
ドグの幅だけ2000パルスというエリアが存在するという内部的な座標系となっている。
移動速度は240mm/sくらい、PLCのキャンタイム:0.9ms+入力ユニットの応答時間:0.25msなので、制御系の応答は±0.3mm。
センサーの感度のばらつきを入れても、2000パルスの場所は±数mmで設定できているようだ。
ラックとピニオンのモジュールは2、PCDは100、エンコーダーは200pprなので、1plsあたり1.6mm、1歯あたりは6.3mmの移動となる。
ラックとピニオンは歯車なので滑りは無い!、正逆転での誤差の累積も無いはずだ、ずれは歯車のバックラッシぶんくらいのはず、大きく見たって±0.5mmくらいじゃないかなあ。
その2000PLSのリセットセンサーはストロークの真ん中くらいに設置されている。で、そのセンサーを通過した前後と、行きと戻りで、同じパルス位置で止まっても10mmくらいずれてしまう。
ドグに入る瞬間の現在位置を見ると行きは2010くらい、戻りは1990くらい、10パルスはおおむね16mmなので、20パルスで32mm位置ずれしている??
センサーを見逃してしまってリセットがかからない時にずれてしまうというのが通説。
確かにその通りだとずれてしまう、でも、話は戻るけどラックとピニオンなので、滑りは無いはず、そんなにずれるはずがない。
エンコーダのパルス抜け?という説もある。
結局のところ、絶対的な基準はセンサーに頼り、原点に幅があり、都度拾うという、一見念の入ったっぽいのだが、本当のところ何が真だかわからないというシステムになってしまっているのも真実が見えない原因の様だ。
ラックとピニオン、直動リニアの老朽化ということでメカ的には全交換し、原点センサーの見逃しも無い様にラッチする回路もいれたのだが、本質的には変わっていないようだ。
どうにも腑に落ちない装置である。
この項完。[2016.8]
その後の話だが、別ラインに新しく作った装置も、更新されて大掛かりに新しくなった装置もラック+ピニオン+エンコーダ、またはサーボモーターを使っているが位置ずれは起きない。やはり原点の決め方に問題があったのではないかと思う。
[2022.2.1]
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