同軸度の話


機械加工部品の精密測定で、真円度と同軸度測定をすることが多いが、同軸度の扱いは難しいケースもある。
同軸度というのは円同士の中心のずれを示すが、中心距離を半径とする直径で示される。
だから、同軸度はφ0.03などど頭にφが着く。
芯のずれ量が0.015だと同軸度はφ0.03となる。
つまり基準側の円の中心の軸を基準に回転させた時、評価側の振れを測定したと仮定した値が同軸度と言える。
設計屋はこのところを良くわかって同軸度の指定をしないと無意味に厳しい図面になる。

円形の部品でも決して真円ではない、真円からの隔たりの大きさが真円度だが、半径の最大-最小ともいえる。
いずれにしてもデーター群から中心位置を求めないと計算できない、 真円度測定器、三次元測定機は最少自乗法にて中心を求めて、演算することになる。
仕事上、真円度0.01同士の円形部分の同軸度φ0.01という図面を目にする、
測定すればそれなりに数字は出てくるので図面指示は満たすということになるのだろうが、 このスペックの部品形状を想像すると、どのような形体なのか疑問に感じるのは私だけであろうか?

XY平面で、同一のZ位置の円の同軸度は測定も比較的楽だが、Z位置に隔たりがある複数の円の同軸度となると 基準の軸が必要になる、
通常は他に基準平面が存在し、その垂線軸を基準として考えることになる、ただ単に二つの隔たった単円の同軸と いうのは測り様が無い。

径の異なる複数の円の同軸度を評価する時は、基準軸をどうとるかで結果が異なる。明確な基準軸がない場合は、 私の場合、それぞれの中心点の直線補間軸を用いることにしている。

径が等しい部分の同軸の場合、円筒を考える事になる。たとえば軸を二つのベアリングを支える二か所の同軸などと いう場合がこれにあたる。
同径部分を2箇所測定すれば円筒が構成できる。円筒は軸を持つので、その軸の延長が基準軸とできる。
円筒軸を基準として単円の同軸を見る場合、近ければ良いが、2者が離れていると基準軸のわずかな傾きが影響してしまう。
精密な精度部品を評価する場合は円筒を作る場合はなるべく多くの円測定で作る必要を感じる。

部分の同軸を見る場合は、基準も測定部も円筒で評価した方が位置関係が良くわかる。
軸同士の位置関係になるので、測定基準軸を厳しく定義しなくても良い。
ただし、円筒同士の同軸度は単円比較の場合と概念が異なる。
2次元的な同軸ではなく、奥行きも含む3次元的な同軸となるので、数字としては悪く出る。
概念の説明は難しいが、有限な2つの軸の同軸は、基準側の軸に垂直な面への有限長さの評価軸を投影し、すべてを含む円の直径で示される。 したがって、2者のどちらを基準とするかで同軸度が異なる事となる。

設計上必要な形状を、形状精度という数字にどう対応づけするかはけっこう難しい問題である。

この項完。

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