丸ベルトの抵抗の話


泡取り練太郎と言う自転公転式の撹拌機がある。
スミセラムと言う接着剤を混ぜているのだが、一缶が530gほどの重さである。
でも練太郎のスペックは350gなのでちょっと無理して使っていた。
20年ほど使われていて、ここ何年かは異音がや振動が大きくなって錘とか張り付けて無理やり使う様になっている。老朽化してきて壊れたらどうしよう。そんな話しになっていた。

いっそのこと自作したら・・なんて話していたのが実現してしまった。
兎に角真似て作ってみた。
ただし、似たようなサイズでスペックを500gにする。
似たようなメカを設計したがモーターの選定で悩む。
練太郎は350gスペックで2000rpm 900VAとある。
違うメーカーの攪拌機があって、それは250gスペックで 1470rpmで200Wのモータを使っている。
設計したメカの慣性モーメントから考えると200Wで2000rpmまで10sで達する。
200Wを選定しておけば2000rpmは無理でも近いところまではいくのではないかと考えた訳だ。

で作ってみたら300rpmまでしか回転を上げられなかった。その理由は粘性抵抗が思ったより大きかった・・。
500rpmまでは到達する事は事は出来るのだが、その回転での負荷が大きくてドライバが過負荷と判断して連続回転出来ない。連続回転できるのが300rpmくらい。
それ以上回転を上げると架台が共振してしまって別の問題が発生するのだが、回転を上げる事に関しては余裕がありそうだった。
回転体の運動方程式は
T=I*dω/dt+aω+b になる。
I*dω/dtが慣性負荷、aωが粘性抵抗、bが摩擦抵抗。
回転が定常状態になるとdω/dt=0 なので T=aω+b となる。
bは摩擦抵抗なのでベアリングに依存するのでどうしようもない。
aωが思ったより大きかった。
で、なんで?自転させる丸ベルトの抵抗というのがたどり着いた答え。
丸ベルトを取って自転無しにすればぐるぐる回るのである。

遊星歯車(タイミングベルト)から自転軸へ伝える丸ベルトの太さや張りで随分変わる事が判ったがどうしても無くせない。45度向きを変えているところがミソではないかと思っている。
残った謎がもう一つ。負荷の重さでこの抵抗が変わるのである。
遠心力でベアリングに負荷がかかって抵抗が増えるのかもしれないが、ベアリングがそんなに弱いとは思えない。重さ?慣性モーメント?方程式に出てこない影響、これは一体何なのだろう。


この項完 2022.2.20

テンションを下げる、つまり緩くすると負荷が減った。しかし今度はベルトの位置が安定しなくなりプーリーから外れてしまう。
丸ベルトの向きを変えている為、曲げるのに力が取られているらしいと判る。細いものに変えたら負荷が減り、テンションをかけられるようになった。
テンションが甘いと脈動するのではなかろうか、加減速に慣性力が負荷になる。
定量的な解析は難しいが、なるべく細くて丈夫で腰が少ないベルトをしっかり張るというのが正解らしい。
[2022.5.1]

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