カシメという固定方法がある、たとえば穴にシャフトを通して、シャフトの周りをポンチ状のもので変形させて固定させる。
カシメると言うのは部品同士を固定する場合、金属の塑性変形を利用する方法。例としては鉄骨と鉄骨を繋げる時に打つリベットに当たる。広い意味で考えるとホチキスで紙を束ねるのも針の塑性変形を利用するのでカシメる事になる。
レコーダーのペンを送る為のメカで、小さなモーターで歯車を回してラックの上をピ二オンで移動する部品を組み立てている。
板にシャフトを立てて、シャフトにギアを取り付ける。シャフトの太さはφ1mm、φ0.7での固定だ、板は0.5mm、反対側に出たわずかな頭を潰して固定する。
そこに使っているのがスピンカシメだ。4度くらいに傾いたポンチが斜めのまま回転して下降して潰す。
カシメと言えばハンマーとパンチが頭に浮かぶ。スピンカシメというのは、今まであまりなじみが無かった。
スピンカシメは、複数の部品を接合させる加工方法の一種で、自動車をはじめ多くの工業製品に用いられてる。
一般的に工具を約1,800回転/分で加圧回転して、ピン端部を変形させていく。
高い剛性力を持ちながら可動部にも使用が可能な為、 機能部品の多くの接合に採用されている。可動部というのは主にリンク節支点等で、一番わかりやすい例ははさみの可動部分だ。
と、ここまで調べて疑問が生じた、歯車のシャフトのカシメは決して可動部ではないので使い方を誤っているのでは?
板は薄いし、均等に潰すために使っているのだろうと言うのが想像。
ただ、カシメが甘いと回ってしまうのは確からしい。
このスピンカシメ、実はずっと外注さんでやっていたのだが、廃業されてしまったので、社内でやることになったのだが、知ってる方が退職されて作業的にブラックボックス化しているという危機的状況なのだ。
かしめの冶具はスピンするパンチの先端に位置が合わされており、バイスで固定されている、絶対に外してはいけないと言うのが退職した方の遺言である。
位置合わせに1か月かかったというのが伝説になっている。
また、カシメパンチが加工する位置は調整可能なのだがこの位置が重要らしい。
下降する力はエアー圧で決まっている様なのでそんなに精密には必要ないのでは無いかと思うのだが・・
そして、図面では直角度が指定されている、常にはチェック出来ないので参考指定に格下げしていただいたが、カシメとの因果関係は今一つ不明だ。
カシメ部分は隙間勘合でガタはあるし、カシメ時固定はしているが、カシメ力より強く押さえているとは到底思えない。
勘合部分のシャフト端部の直角度と板の平面度で決まるのではないのかと思うのだが、そこもはっきりはしない。
そして、このカシメ作業で歯車に傷が付いてしまうことがあるらしいのである。
ピンを立てる穴が開いた冶具があり、シャフトを立てて歯車を入れる、歯車の部分は逃げており、その上に板を置いて上からエアシリンダで抑える。そこでスピンカシメを行っている。
確かにギアと冶具との隙間は小さいが傷が付くとは思えないのだが・・
これから謎解きである。
この項完。
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