接着作業の基礎と言えば、
1.接着面を清掃する。
2.接着面を密着させる。
3.使用する接着材の使い方・接着条件を守る。
というのが通例なのだが、
接着強度は本当に保証されるのか?という話。
設計は比較的簡単だと思います。カタログから接着強度のデータを引用して、接着面積を乗ずれば良い。
でも、理想と現実の差を何処まで見積もるの?という話になると雲を掴むような感じになります。
接着面の面状態・平滑面か、荒らされた面なのか?材質・金属、樹脂?
接着剤は本当に前面に亘っているのか?面の状態・洗浄、拭き取り、etc?
これらの状態のわずかな違いで、接着力は随分変わってしまうと思われます。
私が係わっている製品で、エポキシ系の接着剤を使った接着部の破壊試験を行った結果では、カタログ値から計算した強度の3割くらい。
ところが今回、別部品の強度を調べたら、かなりばらつきが大きかった、
なんと平均はカタログ強度の3%くらいで、3シグマを取ると、下は0も有で、上でも1割程度。
カタログ値の1/100しかないという現実は目下調査中。
幸いな事に堅固な強度が要求される部位でなかったので、接着剤が塗布されていれば良いという事になったが・・・
他のアクリル系の接着剤を使っている物にも強度的には十分なはずなのに、
1/50の割合くらいで剥がれてしまう事があり、困っている。
ただし、接着したものを研削して寸法を出したり、組み立て時に衝撃が加わったりするので、
接着強度そのものが足りないかもしれない。真の必要強度の算定は難しい。
また、アクリル系の接着剤は水気に弱いので、研削液が悪影響を及ぼしている可能性もある。
非接着物の表面処理・変形・洗浄など要因の追跡は限界があり、接着剤の見直しも考え中。
さらに別の接着剤の製品でも、ごくまれに剥がれてしまう事が問題になった事もある。幸いな事に、今は起きていないが・・・
特定の原因がわからず、これも接着のばらつきか・・・?といったところ。
さてさて、さらに接着忘れをどうするか?という話も揚がってきている。
接着に悩まされる毎日が続いている。
破壊した面の接着剤の様子で、凝集破壊(接着剤が破壊された両面に付着)と
界面破壊(接着剤と素材間で剥がれている)に分けられるが、接着が弱いと言われるのが界面破壊。
いわゆる、「付きが悪い」状態。このばらつきを如何に抑えるかというのが接着の難しいところである。
この項完。
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