
最近はヤトイというのも死語だろうか。
開きヤトイとか閉じヤトイとか、15年くらい前には掴みどころが無いワークを固定する冶具の方式をこう呼んでいた。
今の人に解るように言えば、いわゆるコレットに近いだろうか。
ベンチレースのワーク固定構造部みたいな感じである。
だいたい丸いワークを保持するのだが、三つ爪のチャックで掴む部分が無いとか、薄肉の為に歪んでしまう場合に使われる。
ベンチレースみたいに引き込んで開くものと、タップハンドルの固定みたいに閉じるものに分けられる。
市販のものは判らないが、自作する場合はテーパを作って動くようにしたけど、その角度は20度だった、経験的に決められた角度らしいのだが、確かに45度だと力の利得は無い、入り面取りに使われる15度だと絞め込み過ぎてしまうのかもしれない。
いずれにしても閉じ代、開き代はH公差か大きくても0.05mmくらいだと思う。
セラミックの管、正確にはジルコニウムなのだが、外径13±0.5か内径9±0.5のものを掴みたい。
傷はつけたくない、そして周長4mmくらいは触ってはいけない部分がある。
こけしの絵付けのように、白金ペーストを塗るだけで、2rpsくらいで回したいのでそんなに強く固定しなくても良いのだが、空回りされたり抜けてしまっては困る。
手扱いが良いように、開いたり閉じたりの操作はせずにワークを入れるだけで保持できると良い。
内径支持はあまりにも小さい細工になるのでまずはあきらめた。
いろいろ考えたが、やっぱり閉じヤトイでしょう。ということで落ち着いた。
ワークを傷つけないようにと樹脂性を考えるとナイロンかなあ・・といったところ。
そっと掴む力を推測したら60g〜100gかなあ。
しかしナイロンのヤング率は2E9Gpa、アルミの7e10、鉄の2E11に比べると桁違いに柔らかいのは確かだがこの寸法では硬いヤトイになってしまう。
すり割りを増やす、肉を削るしかないのだが樹脂の小さい部品となるとあまり手の込んだ細工は難しい。
加えて径で1mm違うというのは変位としてはかなり大きく、力も強くならざるを得ない。
そこで2種類のコレットを設計してみた。
一つは手で刺すので締め付け力は強くないが、径に応じて太さを変えたものを用意する、もう一つはネジを使って確実に絞めコム様にする、ネジと言っても半周くらいで締め付けは可能。
さていかがなものでしょうか?
この項完。
[2018.10.10]
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